時間とたばこ、お金とたばこ。主にはこの2つの関係について、知っておいて欲しいことをつづっていきます。
時間とたばこ
たばこは1日にひと箱吸うごとに、寿命が3時間以上縮みます。つまり生涯では、10年ほど短い人生となります。
お金とたばこ
ひと箱のたばこが500円とすると、1日にひと箱吸う人は、1年で約18万円、生涯では約1000万円のお金を、煙にします。
時間とたばこーもう少し付け加えると
1本を吸うのに7分を要するとすると、1日ひと箱で2時間20分、生涯で約5年が、煙を吸っている時間としてまるまる費やされます。たばこ代を稼ぐために、時給1000円として1日に30分働くことに、生涯では1年以上まるまる余分に働くことになります。たばこで病気になったため、治療に要する時間も、これらに付け加わります。
お金とたばこーもう少し付け加えると
吸うのに要する時間、働いたとしたら、稼げていた額は1日で2300円以上。喫煙者は病気になりやすいことから、余分な医療費もかかります。吸う人が病気のために仕事を休んだり、クビになったために失われる収入もあります。
次に、誰かにたばこを吸わせることで、お金を手に入れている人たちについて説明します。
現在は財務省、当時は大蔵省の官僚だった公務員や、検事だった公務員がJTの幹部として天下り、年に1億円を越える報酬を手にしています。たばこの価格には税金も含まれているため、税収を何に使うか決める側にもうまみがあります。
たばこの小売りをしているコンビニ、たばこ店、自販機を設置している者なども利益を得ています。ある調査ではコンビニの売り上げのうち25%をたばこが占めています。
自民党を中心とした政治家が、JTから受け取っている政治献金は、多い議員で6年間に600万円以上になります。ただし20万円以下のパーティー券は、総額でどれほどになろうとも、ここには含まれません。
たばこメーカーも莫大な利益を上げています。JTは年間の売り上げが3兆円にも上ります。
テレビや新聞、雑誌などもたばこ業界から広告を依頼されることで、広告料を手にしています。電通などの広告代理店やPR会社が手に入れているお金もかなりの額に上ります。
たばこの葉を育てている農家も、収入を得ています。
上に挙げてきた多くの人たちが、たばこがひとの健康に及ぼす悪影響を思い浮かべることはせずに、お金の誘惑にあっさり負けて、業界側に加担しているのが現状です。まずは多くの人に今の状況を知ってもらい、課題を共有してもらうのが私の願いです。
参考図書
禁煙学 改訂4版 日本禁煙学会編 南山堂
本当のたばこの話をしよう 片野田耕太 日本評論社
受動喫煙の環境学 村田陽平 世界思想社
まだ、タバコですか? 宮島英紀 講談社現代新書
新型タバコの本当のリスク 田淵貴大 内外出版社
悪魔のマーケティング ASH編 日経BP社
タバコ・ウォーズ フィリップ・J・ヒルツ 早川書房
タバコの世界史 J・グッドマン 平凡社
喫煙の心理学 クリスティーナ・イヴィングス 産調出版
喫煙と禁煙の健康経済学 荒井一博 中公新書ラクレ
JT、財務省、たばこ利権 松沢成文 ワニブックスPLUS新書
禁煙セラピー アレン・カー KKロングセラーズ
マンガで読む禁煙セラピー アレン・カー マンガ桐ヶ谷ユウジ
リセット禁煙のすすめ 磯村毅 東京六法出版株式会社
頑張らずにスッパリやめられる禁煙 川井治之 サンマーク出版
喫煙社員ゼロの時代へ 荒島英明 PHPエディターズグループ
99%禁煙できる本 阿部眞弓 三笠書房
嫌煙権を考える 伊佐山芳郎 岩波新書
たばこで他殺、たばこで自殺 宮崎恭一 女子栄養大学出版部
たばこの政治学 A・L・フリッチュラー 勁草書房
リスキー・ビジネス ジョン・スタウバー シェルドン・ランプトン 角川書店
陪審評決 ジョン・グリシャム 新潮社
現代たばこ戦争 伊佐山芳郎 岩波新書
タバコはなぜやめられないか 宮里勝政 岩波新書
がんは8割防げる 岡田正彦 祥伝社新書
不都合な真実 アル・ゴア ランダムハウス講談社
タバコ狩り 室井尚 平凡社新書
禁煙ファシズムと戦う 小谷野敦 斎藤貴男 栗原裕一郎 ベスト新書
グレート・スモーカー 祥伝社新書 編集部編 祥伝社新書
愛煙家通信CONFORT 2016Spring 喫煙文化研究会編 WAC
日本のタバコ 大熊規矩男 現代教養文庫
たばこ 田中冨吉 カラーブックス
パイプ党入門 深代徹郎 春山徹郎 池田書店
早死にしたくなければ、タバコはやめないほうがいい 武田邦彦 竹書房
参考映画
インサイダー アル・パチーノ ラッセル・クロウ ポニーキャニオンDVD
最終更新2021年9月4日 ©髙木利幸